MACDの使い方
MACDは、「Moving Average Convergence and Divergence」の略で、短期と中長期の2本の指数平滑移動平均線(EMA)を使用して、売買の判断するインジケーターです。MACDはマックディーと読み、日本語では移動平均収束拡散法と言われます。
MACDは、チャートの下のサブウィンドウに表示され、0を基準に相場トレンドの判定やMACDの交差のタイミングで売買の判断をします。
この記事では、MACDの見方と正しい使い方をご紹介しています。
MACDの表示方法
パソコン版 MT4 / MT5 MACD 表示手順
MT4 / MT5画面左側の「ナビゲーター」枠から「インディケータ → オシレーター → MACD」を選択し、適用させたいチャートにドラッグ・アンド・ドロップ(左クリックを押しながら移動して左クリックを離す操作)します。
MACDの設定画面が表示されます。MACDはそのままの設定で使用することができます。「OK」ボタンをクリックしてチャートにMACDを適用させます。
以上の操作だけで、MT4 / MT5のチャートへMACDの表示が完了です。
スマホ版 MT4 / MT5 MACD 表示手順
MT4 / MT5アプリの「チャートタブ」からチャート画面を開き、チャート画面上の「f」アイコンをタッチ → インディケータ画面から「メインウィンドウ」をタッチします。
「インディケータ追加」画面でオシレーター項目の「MACD」をタッチし、設定画面を表示させます。
MACDは特に設定変更なくそのまま使用できるので、「完了」ボタンをタッチします。
以上のタッチ操作で、MT4 / MT5スマホアプリのチャートのサブウィンドウにMACDの表示が完了です。
MACD 設定値
短期EMA: 12(本)
長期EMA: 26(本)
シグナル: 9(本)
MACDの設定値(パラメータ)は、初期設定の数値のまま使用するのが基本で一般的です。
「本」というのは、ローソク足の本数のことです。
日足チャートの場合は、1本のローソク足が1日を表しているので、短期EMA12本の場合は12日間の指数移動平均線となります。4時間足チャートの場合は、12EMAで48時間(12本 × 4時間)の指数移動平均線です。
パラメータは自由に変更することは可能です。もし、変更する場合は長期EMAは短期EMAの約2倍の数値が適切と言われています。
シグナルは9を基準とし、数値が小さいほど売買サインが出やすくなります。しかし、その分"だまし"が多くなり、数値が大きいほど売買サインがでにくくなります。
MACDの見方
上記チャートの下のサブウィンドウに表示されているのがMACDです。2つのグラフで表示されています。
- 棒グラフ(ヒストグラム)「MACD」: MACD = 短期(12)EMA – 長期(26)EMA
- 点線のライン「MACDシグナル」: MACDの移動平均線(9MA)
MACDは、2つの移動平均線の差です。2つの移動平均線の差に更に移動平均線を加えたものがMACDシグナルです。
上記チャート例の赤丸の印は、2つの移動平均線が交差する箇所でMACDでは「0」となり、0水準よりMACDが上になると上昇相場と判断し、0水準よりMACDが下になると下降相場と判断するのが一般的です。
- EMA: 指数移動平均線
- MA: 単純移動平均線
MACDを使う理由
- 移動平均線のトレンド発生遅延のデメリットを補うため
MACDは、2つの移動平均線を利用し、素早くトレンド発生のサインを捉えるテクニカル指標です。
単体の移動平均線だけでは、トレンド発生のサインを捉えるのが遅くなってしまいます。
下記チャートのように、移動平均線で上昇トレンドの発生を目視で確認した頃には、既に価格が上昇してしまった後で売買の機会を逃してしまうことがあります。
そこで、移動平均線の弱点を補うMACDが、1979年にジェラルド アペル(Gerald.Appel)によって考案されました。
MACDは、移動平均線単体よりも素早くトレンド発生と売買シグナルを捉えることが可能になります。
上記チャートでは、MACDの買いシグナルと合わせて価格も上昇し、MACDの売りシグナル発生後に価格は上昇トレンドから横ばいになりました。
移動平均線単体では、上昇トレンドを目視で確認したときには価格も上昇した後ですが、MACDは上昇トレンドを価格上昇と合わせて素早く確認することができます。
MACDを利用した取引方法
MACDの取引への使い方は、2つの分析方法があります。
0を基準に相場のトレンドを判断する取引方法
MACDとシグナルが交差するタイミングで売買判断する取引方法
1. MACDの0を基準に相場のトレンドを判断する取引方法
MACDヒストグラムは、2つの移動平均線の乖離具合を表しており、2つの移動平均線が交差する箇所が0(ゼロ)のポイントとなります。
2つの移動平均線が交差というのは、デッドクロスかゴールデンクロスになっているということなので、0を基準に売買判断をすることができます。
- ゼロを中心にMACDが上に表示されている時は、上昇相場に転換(買い目安)
- ゼロを中心にMACDが下に表示されている時は、下降相場に転換(売り目安)
取引のタイミング
MACDの0ラインは、移動平均線のゴールデンクロスとデッドクロスの意味と同じの為、0基準からMACDがプラスになったら「買い」。
0基準からMACDがマイナスになったら「売り」。という売買の判断ができます。
MACDとシグナルが交差するタイミングで売買判断する取引方法
ヒストグラムのMACDと点線のシグナルが交差するときに売買を判断します。
- MACDがシグナル線を下から上に交差: ゴールデンクロスとなり「買い」
- MACDがシグナル線を上から下に交差: デッドデンクロスとなり「売り」
取引のタイミング
「0基準に相場のトレンドで売買を判断する方法」と「MACDとシグナルの交差で売買を判断する方法」の両方を見て、より売買のタイミングを掴むこともできます。
(取引例)MACDが0より上にある状態で、かつMACDとシグナルがデッドクロスになったときに「売り」
MACDの欠点と欠点を補う方法
MACDの欠点
- 価格変動幅が小さく横ばいの相場では、"だまし"が多くなる
- 緩やかな相場では、売買シグナルが出ても精度が弱い
MACDは、移動平均線よりも素早くトレンド発生を捉えることができます。しかし、欠点もあります。
下記チャート例のように、特にあまり価格が動いていない横ばいの相場では、"だまし"のシグナルも出やすくなり、正常な売買判断が難しくなります。
また、緩やかな上昇でもMACDは下向きという相場になることもあるので、明確に価格が動いていない相場ではMACDのみで判断はリスクが高いと言えます。
MACDの欠点を補う方法
MACDは、明確に価格が動いていない相場では欠点が出てしまいます。しかし、追加で「ストキャスティクス」というインジケータを利用することでMACDの欠点を補うことができます。
「ストキャスティクス」は、%K、%Dというシグナルがチャートの下枠に表示され、「0~30%で売られすぎ」「70~100%で買われすぎ」という判断をするテクニカル指標です。
ストキャスティクスは、横ばい相場が得意なテクニカル指標です。
横ばい相場が不得意なMACDと横ばい相場が得意なストキャスティクスを組み合わせることで、総合的に売買の判断ができるということになります。
MACDとストキャスティクスを合わせた売買例
「MACDがプラス圏内」 + 「MACDとシグナルがデッドクロス」 + 「ストキャスティクス70%以上」
「MACDがマイナス圏内」 + 「MACDとシグナルがゴールデンクロス」 + 「ストキャスティクス30%以下」
上記チャートは、MACD(中央)とストキャスティクス(下)を表示したチャートです。
「売り」のポイントでは、売り条件に全て当てはまっていますが、その他の四角のポイントはではストキャスティクスが条件を満たしていないため、売買は見送りという判断ができます。
ストキャスティクスを併用して売買判断をした場合、売買の回数は減ってしまいます。しかし、より精度の高い取引をすることが可能になります。
MACD 使い方 まとめ
- 2つの移動平均線を利用したインジケーター
- 0ラインを基準にMACDが上にある時は「買い」相場
- 0ラインを基準にMACDが下にある時は「売り」相場
- MACDとシグナルがゴールデンクロスになると「買い」
- MACDとシグナルがデッドデンクロスになると「売り」
- ストキャスティクスと組み合わせた方がリスクが軽減される
MACDだけの指標で取引は、値動きの少ない相場では間違った売買シグナルが出やすいので、最低限ストキャスティクスを組み合わせて判断した方が良いでしょう。