トレンドライン（Trend line）とは、チャートに表示された価格の終値を結んで描く斜線です。トレンドラインを引くことで、現在の相場の強弱やトレンドの転換点、価格の反発や反落のタイミングを見極め、売買の判断が可能です。
MT4やMT5では、トレンドラインを簡単に描くことができます。
この記事では、MT4やMT5でトレンドラインを正しく引く方法と、トレンドラインを活用した取引の例について、分かりやすく解説しています。
MT4/MT5でトレンドラインを表示する
パソコン用MT4/MT5でトレンドラインを表示する手順
トレンドラインを表示したいチャートを選択した状態にし、画面上の「／（斜線）アイコン」をクリックします。
チャート全体を見て価格が上昇傾向であれば、マウスの左クリックを押しながら、ローソク足の安値の終値同士を結んで線を引き、終点で左クリックを離します。
反対にチャート全体を見て価格が下落傾向であれば、マウスの左クリックを押しながら、ローソク足の高値の終値同士を結んで線を引き、終点で左クリックを離します。
以上のように、マウス操作で簡単にチャートにトレンドラインを表示できます。
トレンドラインをダブルクリックすると、移動や長さの調整が可能になります。また、トレンドラインが選択されている状態で右クリックすると、削除ができ、プロパティからは色や線の太さの変更も行えます。
スマホ用MT4/MT5アプリでトレンドラインを表示する手順
チャート画面上のオブジェクトアイコン（△○□が重なったアイコン）をタッチします。
オブジェクト追加をタッチします。または、直接／アイコンを選んでもOKです。
／トレンドラインを選択します。
チャート画面に戻るので、表示したい位置でタッチしながらラインを合わせて引きます。
以上の操作で、スマホ用のMT4/MT5アプリにもトレンドラインが簡単に引けます。
トレンドラインの正しい引き方
終値の起点でトレンドラインを引く
トレンドラインはローソク足のヒゲ（高値や安値）ではなく、終値を起点に引きます。ヒゲと終値起点ではトレンドラインの位置が異なるためです。
終値が見づらい時は、チャートの表示方法をローソク足からラインチャートに変更すると、視認性が向上し、トレンドラインを引くのも容易になります。
値動きが斜めN字の形になったトレンドライン
下記チャート例のように、価格の動きが斜めの「N」形をしていると、トレンドラインの抵抗線や支持線が強くなります。
大きな「N」はボラティリティが高いことを示し、小さな「N」はボラティリティが低いことを表しています。連続して同じような大きさの「N」形が綺麗に形成されるほど、トレンドラインで価格の反発や反落する可能性が高まります。
トレンドラインを利用した売買判断方法
上昇トレンドの押し目買い
上昇トレンドにおいて、トレンドラインの上で価格が推移し、価格が下落してトレンドラインに触れるタイミングで価格が反発する傾向があります。
上記のチャート例では、トレンドラインに価格が到達した近くで価格が反発しています。このトレンドラインに価格が反発したポイントで「押し目買い」注文を入れると、利益を得やすくなります。
下落トレンドの戻り売り
下落トレンドでは、トレンドラインの下で価格が推移し、価格が上昇してトレンドラインに接触するタイミングで価格が反落する傾向があります。
上昇トレンドラインの逆の状況で、トレンドラインに価格が触れた近くで価格が反落しています。このトレンドラインに価格が反落したポイントで「戻り売り」注文を入れると、利益を得やすくなります。
決済のタイミングは平行ラインを利用する
トレンドラインとともにチャネルライン（平行ライン）を使用することで、「押し目買い」と「戻り売り」の利益確定（決済）のタイミングを見極めることができます。
チャネルラインは、トレンドラインに平行してもう一つのトレンドラインを自動で引くインジケーターです。MT4やMT5でチャネルラインを表示するには、「Eマークアイコン」をクリックし、トレンドラインを引く際と同様に操作します。
自動で引かれる上値や下値の平行ライン（トレンドライン）に価格が接触するタイミングで、効果的に決済を行うことができます。これにより、取引のタイミングを正確に把握しやすくなります。
上記チャート例では、赤丸箇所で「買い」注文をし、青丸箇所（自動で引かれたライン）で「決済（利益確定）」注文をしています。
トレンド発生中の下げ幅や上げ幅が、ほぼ等しくなる
上昇トレンドや下降トレンドが確認できるとき、価格の上昇幅や下降幅がほぼ等しくなることがあります。この幅に水平ラインを引くことで、価格の動きを視覚的に確認しやすくなります。
これらの幅を利用して、下降トレンドでは価格の下げ止まり、上昇トレンドでは価格の上げ止まりを予測することが可能です。
例えば、下げ止まりが見込まれるポイントで逆張りの買い注文を入れる、または持っていた売りポジションの決済を行うなどの取引戦略を立てることができます。
トレンドの転換で売買をする
価格がトレンドラインを上方または下方に完全に抜けると、これまでのトレンドが逆転する可能性が高まります。
このトレンドの転換点を捉え、価格がトレンドラインを抜けた方向に沿って売買を行う取引手法が効果的です。この方法により、新たなトレンドの初期段階での取引機会を活用することができます。
複数のラインでトレンド転換を判断
価格がトレンドラインを抜ける際には「ダマシ」の値動きも存在するため、複数のラインを組み合わせて総合的に判断することが重要です。
例えば、下記のチャート例では、チャートに下降トレンドライン、水平ライン、そして上昇トレンドラインの3つのラインを表示することで、より精確な分析が可能になります。
上記チャート例のように、下降トレンドでは価格が連続して下がり更新されるため、上昇トレンドラインを引くことが難しい状況が生じます。
しかし、上昇トレンドラインが引けるようになったポイントでは、価格の動向が変わりつつある可能性が示されています。この変化を捉えて、次のような取引戦略を立てることができます：
- 売り注文を避ける
- 三本のラインが交差するポイントで決済を行う。この時、状況に応じて損切りも検討する
- 決済ポイントでの逆転買い
これらの戦略は、チャートのラインから読み取れる市場の動向に基づいて、より効果的な取引ができるようにするためのものです。
トレンドラインの支持線と抵抗線が入れ替わるときに判断する
上記チャート例のように、上昇トレンドラインを示すチャートにおいて、価格が反発し支持線としての役目を果たしていましたが、最終的には価格がトレンドラインを下に突き抜け、上昇トレンドラインが抵抗線としての役目になり、価格を反落させています。
このチャート例のように、上昇トレンドが支持線から抵抗線の役割に変わるとき、それは上昇トレンドの終了を示しています。
このような転換ポイントでは、ポジションを保有している場合、トレンドラインの支持線と抵抗線が入れ替わるタイミングでの決済や損切り、または途転注文を考慮する取引戦略が効果的です。
トレンドが転換したあとの売買判断
トレンドラインの支持線と抵抗線が入れ替わると、主に「逆のトレンドに変わる」「ボックス（レンジ）相場になる」「元のトレンドがしばらく続く」という3つのパターンの値動きが考えられます。
現在の価格動向がどのパターンに該当するのかを判断するためには、移動平均線や水平ラインなどのインディケータをチャートへ追加して分析します。これにより、市場の現状と将来の動向をより正確に把握することが可能です。
上記チャート例には、「水平ライン」「移動平均線（20EMA/75EMA）」「上昇/下降トレンドライン」が表示されています。
トレンド転換ポイントの後にレンジ相場が形成され、上値抵抗線を抜けると上昇トレンドに移行している様子が確認できます。
レンジ相場においては、下値支持線での買いや決済、上値抵抗線での売りや決済が考慮され、水平ラインを抜けた後はその方向に順張りの注文を入れるという取引戦略が有効です。
MT4/MT5でトレンドラインを活用する方法のまとめ
- MT4 / MT5の「／（斜線）アイコン」でトレンドライン表示
- 終値起点で線を結ぶ
- トレンドラインは、抵抗線と支持線の役目
- 価格の下げ幅、上げ幅がほぼ等しくなる
- トレンドラインを価格が抜けるとトレンドが転換する傾向が強い
- 「ダマシ」に注意
- 支持線と抵抗線が入れ替わるポイントでトレンドが転換
- 複数のラインやインジケーターで総合的に売買判断する
- 予想していたポイントをオーバーした場合は、早めの損切りも大切