ストキャスティクス(Stochastics)は、特にトレンドが定まらない市場状況で「売られすぎ」「買われすぎ」の状態を識別する逆張り指標として役立ちます。この指標は1950年にジョージ・レーンによって開発され、逆張りのトレーディング手法に適しています。
チャートのサブウィンドウに描かれる2本のラインが、30%未満を示す場合は売られすぎとみなして買い注文を、70%以上を示す場合は買われすぎとみなして売り注文を検討することが推奨されます。
本記事では、ストキャスティクスの適切な使い方を画像付きで分かりやすく解説しています。
MT4/MT5でストキャスティクスを表示する
パソコン用MT4/MT5でストキャスティクスを表示する手順
MT4 / MT5画面左側の「ナビゲーター」枠から「インディケータ → オシレーター → Stochastic Oscillator」を選択し、適用させたいチャートにドラッグ・アンド・ドロップ(左クリックを押しながら移動して左クリックを離す操作)します。
ストキャスティクスの設定画面が表示されます。ストキャスティクスは、標準設定のまま使用することができます。
スマホ用MT4/MT5アプリでストキャスティクスを表示する手順
チャート画面上に表示されている「f」アイコン(インジケーターアイコン)をタッチします。
「メインウィンドウ(メインチャート)」をタッチして、「Stochastic Oscillator」をタッチします。
ストキャスティクスの設定画面が表示されます。特定の目的がない場合はそのまま使用できるので、「完了(保存)」ボタンをタッチします。
ストキャスティクスの見方
上記チャート例のサブウィンドウに表示されているのがストキャスティクスです。ストキャスティクスは、%K(実線)と%D(点線)の2つのラインで構成されています。これらのラインが交巡する点やその位置を基に、売買の判断を行うことが一般的です。
%Kラインと%Dラインが交差する場所は、市場の動きを反映し、投資のタイミングを見極める重要な指標となります。
具体的には、%Kラインが%Dラインを下から上に抜ける時は買い信号、上から下に抜ける時は売り信号と評価されます。
ストキャスティクスの計算手順
ストキャスティクスは、%Kとその平均値である%Dという二つの異なる動きを示す線から成り立っています。これらの線の位置や交差するタイミングに基づいて売買の判断を行います。
以下に、ストキャスティクスの主要な計算式を示します:
- %K = {(当日の終値 – 過去n日間の最低値) ÷ (過去n日間の最高値 – 過去n日間の最低値)} × 100%
- %D = {過去m日間の%Kの合計 ÷ m} × 100%
- Slow%D(SD) = 過去x日間の%Dの単純移動平均
ここで使用される一般的なパラメーターは以下の通りです:
- n = 14、9、5(期間の長さ)
- m = 3(%Dの計算で使用する期間)
- x = 3(Slow%Dの平滑化に使用する日数)
これらの計算は、MT4やMT5で自動的に行われチャートのサブウィンドウへ表示されます。これらの計算を通じて、市場の売り買いシグナルを識別するための重要な指標を提供します。
ストキャスティクスを利用する理由と併用テクニカル指標
横ばいの相場(レンジ相場)でトレンドが定まらず売買の判断が難しい場合、ストキャスティクスの「売られすぎ」「買われすぎ」を示すオシレーター指標が非常に役立ちます。
このストキャスティクスの指標は、売り買いのタイミングを明確に提示することができます。
例えば、上記のチャート例のように、チャートにMACDとストキャスティクスを同時に表示した場合、横ばい相場においてはMACDのシグナルが不明確なことが多いです。
一方で、ストキャスティクスでは「買われすぎの70%ライン」と「売られすぎの30%ライン」を使用して、より明瞭な判断が可能です。
MACDがトレンドが明確な市場での利用に適しているのに対して、ストキャスティクスは横ばいや不安定な市場状況でその真価を発揮します。これら二つの指標を併用することで、相場の状況に応じた効果的な取引戦略を立てることができます。
ストキャスティクスを活用した取引戦略
ストキャスティクスの位置や%Kと%Dの交差タイミングを基に、効果的な売買判断を行うことができます。
特に、「30%以下は売られすぎ、70%以上は買われすぎ」とされるラインを利用して取引するのが一般的ですが、より慎重な判断を行う場合は20%以下を売られすぎ、80%以上を買われすぎとする場合もあります。
%Kと%Dが共に30%以下で、%Kが%Dを下から上に抜けた場合は、買い注文のシグナルです。
%Kと%Dが共に70%以上で、%Kが%Dを上から下に抜けた場合は、売り注文のシグナルです。
上記のチャート例では、赤丸は買いタイミング、青丸は売りタイミングを示しており、横ばいの相場ではこのようなオシレーター指標が特に有効です。
ただし、トレンドが強い相場では、ストキャスティクスの信頼性が低下するため、損切りを迅速に行い、MACDなど他のテクニカル指標を併用することでデータの精度を高めることが推奨されます。
MT4/MT5でストキャスティクスを活用する方法のまとめ
- ストキャスティクスは、特にトレンドが定まらない市場状況で「売られすぎ」「買われすぎ」の状態を識別する逆張り指標
- 30%未満を示す場合は売られすぎとみなして買い注文
- 70%以上を示す場合は買われすぎとみなして売り注文
- %Kが%Dが共に30%以下で、さらに%Kが%Dを下から上に抜けた場合は、買い注文のシグナル
- %Kと%Dが共に70%以上で、さらに%Kが%Dを上から下に抜けた場合は、売り注文のシグナル
- トレンドが強い相場では、ストキャスティクスの信頼性が低下
- MACDなど他のテクニカル指標を併用することでデータの精度を高めることが推奨される