米雇用統計などの重要な経済指標が発表される前後は、相場が短時間で大きく変動することが多いです。このような場面では、市場予想と実際の結果とのギャップを活用して取引を行うことが可能です。
市場予想は、金融機関やシンクタンクの専門家が分析し、ロイターなどの情報ベンダーによって提供されます。この市場予想と経済指標発表後の結果との乖離が大きいほど、相場の変動幅も大きくなります。
この記事では、経済指標発表前後の相場変動を利用した具体的なFX取引方法について分かりやすく解説します。
経済指標発表前後の値動きについて
経済指標とは、各国の政府や関連省庁が発表する「経済の成長や安定性を数値で示した統計データ」です。
経済指標が好調であれば、その国の通貨が買われる傾向があり、逆に悪い結果が出ればその国の通貨が売られることが一般的です。このような為替市場への影響は、株式市場にも波及することが多いです。
経済指標発表と為替の値動きの関係
- 経済指標の結果が良い場合:その国の通貨が買われる
- 経済指標の結果が悪い場合:その国の通貨が売られる
各国から発表される経済指標にはさまざまな種類があり、中でも特に重要なものを以下で紹介します。
米雇用統計
米雇用統計は、アメリカ国内の雇用状況を数値化した重要な経済指標で、前月に比べて雇用者数がどの程度改善されているかを示します。
この指標は、毎月第1金曜日に米国労働省労働統計局(U.S. Department of Labor, Bureau of Labor Statistics)から発表されます。
項目 | 内容 |
---|---|
発表国 | アメリカ合衆国 |
発表元 | 米国労働省労働統計局 (U.S. Department of Labor, Bureau of Labor Statistics) |
発表時期 | 毎月第1金曜日 (冬時間)日本時間 22時30分 (夏時間)日本時間 21時30分 |
発表内容 | 雇用に関する指標 |
米雇用統計の数値が市場予想を上回る場合、ドルが買われる傾向があります。一方、予想を下回る場合はドルが売られる傾向が強まります。
米雇用統計は複数の指標で構成されていますが、特に注目されるのは「非農業部門雇用者数」と「失業率」です。この二つの指標が市場に与える影響は非常に大きく、トレーダーにとって重要な判断材料となります。
非農業部門雇用者数
非農業部門雇用者数は、非農業部門に属する約40万社の事業所と4,700万人の従業員(全米の約3分の1)を対象に集計されます。
この指標は、経営者や自営業者を除く、農業以外の産業で働く雇用者の増減を示します。毎月15万人程度の増加が、労働市場の景気回復の目安とされています。
失業率
失業率は、「失業者 ÷ 労働力人口 × 100」によって算出されます。この指標は、約6万世帯の16歳以上の男女を対象に調査されます。
失業者数が前月より減少している場合、個人消費の増加や景気回復の兆しとみなされることが一般的です。
米FOMC政策金利
FOMC(連邦公開市場委員会)は、アメリカの金融政策を決定する機関で、日本の「日銀金融政策決定会合」に相当します。
FOMCは年に8回開催され、景況報告や経済状況に基づいて議論が行われ、会合終了後に政策金利(FF金利)と今後の金融政策の方向性が発表されます。
項目 | 内容 |
---|---|
発表国 | アメリカ合衆国 |
会合名 | FOMC (Federal Open Market Committee) |
開催時期 | 6週間毎の火曜日に年8回開催 金融危機などの際には必要に応じて随時開催 |
発表時間 | 開催最終日の (夏時間)日本時間 午前3時15分 (冬時間)日本時間 午前4時15分 |
決定内容 | 政策金利(FF金利)の誘導目標 景況判断(先行きの景気・物価に対するリスク等の評価) 今後の金融政策方針 |
政策金利とは、中央銀行が一般の銀行に融資する際の金利を指します。
通常、景気が良いときには金利が引き上げられ、景気が悪いときには金利が引き下げられます。
一般的には、利上げが行われると内外金利差が拡大し、その国の通貨が強くなる要因となります。反対に、利下げが行われると金利差が縮小し、通貨安の要因となることが多いです。
FOMCの声明文が注目される
FOMCでは、政策金利の決定だけでなく、発表される声明文が市場に大きな影響を与えます。市場参加者は、声明文の文言を注意深く分析し、次回の利上げや金融政策の方向性を予測します。
そのため、声明文の内容がドル買いやドル売りの材料となることが多いです。
FOMCの結果と声明文は、FOMC開催最終日に発表されます。
- 夏時間: 日本時間 午前3時15分
- 冬時間: 日本時間 午前4時15分
この発表の様子は、Bloombergやロイターのライブ中継(英語)でリアルタイムに確認することが可能です。
米国GDP
GDP(国内総生産)とは、特定の期間内に国内で生産された商品やサービスの付加価値の総額を示す指標です。GDPはその国の経済規模や成長を測るための重要な指標であり、外国為替市場でも大きな影響を与えます。
GDPの伸び率には、名目成長率と物価変動を調整した実質成長率の2種類があります。外国為替市場では、インフレの影響を排除した実質成長率が特に注目されます。
項目 | 内容 |
---|---|
発表国 | アメリカ合衆国 |
発表元 | 商務省経済分析局(BEA) |
発表時期 | 1月・4月・7月・10月下旬 (冬時間)日本時間 22時30分 (夏時間)日本時間 21時30分 |
発表内容 | GDP数値 |
世界各国のGDPが発表されますが、基軸通貨である米ドルを発行するアメリカのGDPが特に為替市場に大きな影響を与えます。
GDP数値は経済成長率を示し、特に前回のGDPからの伸び率が市場で注目されます。
経済指標発表前後の値動きを利用した取引
経済指標の発表後、その結果が市場予想よりも良ければ、通常、その国の通貨が買われます。逆に、結果が市場予想よりも悪ければ、その国の通貨が売られる傾向があります。
これを利用して、以下のような取引を行うことができます。
経済指標の結果と取引戦略
- その国の通貨が買われる = その国の通貨を買い注文
- その国の通貨が売られる = その国の通貨を売り注文
基本的には、この傾向を利用して売買注文を行い、利益を狙います。
また、市場予想と実際の結果に大きな差がある場合、為替の値動きが一方向に大きく動くことがあり、その動きを捉えることが重要です。
上記のチャート例は、2024年8月15日に発表された日本の第2四半期のGDP速報値後のドル円15分足の値動きです。
GDP速報値が0.5%予想を上回り、+0.8%成長を記録したことでドル円の相場に影響を与えました。また、同日に発表されたアメリカの労働市場と小売売上高のデータも、米経済への投資家の見方に影響を与え、ドル円相場の動向に寄与しました。
このような経済指標発表と為替相場の値動きの例のように、経済指標の予想よりも結果が乖離したときに一時的なボラティリティを引き起こします。
このタイミングを狙って、ドル円を買っていれば大きな利益を得られる機会になります。
XMTradingからの取引はリスクが限定される
XMTradingでは、追証なし(マイナス残高リセット)サービスを提供しているため、経済指標発表前後に取引を行い、もし予想に反して損失方向へ動いたとしても、投資金以上の損失は発生しません。
さらに、XMTradingでは複数の口座を開設できるため、経済指標発表前後の取引は、通常の取引用口座とは別の口座で行うとリスクを限定できます。
経済指標発表前後の値動きを利用したFX取引方法のまとめ
- 経済指標発表前後は、一時的に為替相場にも大きな影響を与えることがある
- 市場予想と結果が乖離したときに、為替相場で大きなボラティリティが発生する
- 経済指標の結果が良いと、その国の通貨が買われる
- 経済指標の結果が悪いと、その国の通貨が売られる
- 米雇用統計は、非農業部門雇用者数と失業率が注目される
- 米FOMC政策金利は、景気が良いと金利が引き上げられ、景気が悪いと金利が引き下げられる
- 米FOMCは、声明文が注目される
- GDPは、実質成長率が注目される
- 経済指標発表で結果が良ければ、その国の通貨を買い、結果が悪ければ通貨を売る戦略が可能
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