FX市場オーダーとは、保険会社や金融機関などの大口機関投資家が為替市場で行う注文を指します。この市場オーダーの状況を把握することで、機関投資家がどの水準で大口注文を出しているかを確認でき、自身の取引に活用できます。
市場オーダーは、為替市場の相場状況により常に変動します。
FX情報サイトの「TRADER’S WEB FX 」では、毎営業日の6時台、14時台、18~19時台、21時台に更新されたドル円とユーロドルのオーダー状況を無料で確認できます。
他の為替通貨ペアやリアルタイムのオーダー状況を確認するには、有料会員になることで確認可能です。
FX市場オーダー状況の基本
FX市場では、オーダー状況を把握することで取引戦略に活用することができます。
FX市場のオーダー状況とは、特定の価格帯にどれだけの買いオーダーや売りオーダーが存在するかを示す情報です。大口の機関投資家の注文状況をある程度把握できます。
下記画像は、FX情報サイトの「TRADER’S WEB FX 」の市場オーダー状況のスクリーンショットです。オーダー状況の情報は、サポートやレジスタンスレベルを判断するのに役立ちます。
FX市場オーダー状況の見方
FX市場のオーダー状況とは、特定の価格帯にどれだけの買いオーダーや売りオーダーが存在するかを示す情報です。
この各情報は、サポートやレジスタンスレベルを判断するのに役立ちます。
「TRADER’S WEB FX 」のFXのオーダー状況では、下記の項目がオーダー状況によって表記されています。
OP(オプション)
OP(オプション)とは、特定の通貨を、予め定められた期間または期日(権利行使期間)に、予め定められた価格(権利行使価格)で、買う権利、または、売る権利を取引することを指します。
ニューヨーク市場では、通貨オプションが活発に取引されています。
特に、ニューヨーク市場の10時(夏時間9時)、日本時間の24時(夏時間23時)の通貨オプションのカットオフタイムでは、オプション行使を巡り、原市場である外国為替市場でも売買が活発になり、相場が大きく動くことがあります。
オプション(OP)とNYカット
オプション取引には、行使価格と満期日が設定されており、特定の時点でそのオプションが有効期限を迎えます。
NYカットとは、ニューヨーク時間の午前10時(日本時間で23時または夏時間で22時)にオプションが満期を迎えることを指します。
ニューヨーク市場は世界の主要金融市場の一つであり、多くの取引が行われるため流動性が高くなります。
「TRADER’S WEB FX 」のFXのオーダー状況の表で、「オプション(OP)NYカット」が表記されている場合は、表記してある日付でその為替レート水準にNYオプションカットが設定されています。
このNYカットのオプション満期前後は、ポジション調整のために価格変動が激しくなることがあります。
オプション(OP)バリア観測
バリアオプションは、特定のバリア(価格水準)に達することで、オプションの有効性が変化するデリバティブ商品です。
主に以下の2種類があります:
- ノックインオプション:
- 基本オプションがバリアに達することで有効になる。
- 例:為替レートや株価が一定のバリア価格に達した場合にのみ行使可能となるオプション。
- ノックアウトオプション:
- 基本オプションがバリアに達することで無効になる。
- 例:為替レートや株価が一定のバリア価格に達した場合に無効になるオプション。
オプションバリアの前では、防戦売り(買い)による攻防が行われ、為替レートの下落や上昇が抑制されることがあります。
しかし、一度OPバリアが設定されている水準に到達すると、その後の下落や上昇が一気に進むこともあります。
これを踏まえて、OPバリア手前では逆張り注文、OPバリア突破後では順張り注文の取引戦略が有効です。
売り(売り厚め)
「売り(売り厚め)」の表記は、その為替レート水準に、大口の売りオーダーが入っている状態です。上値に売りオーダーがあると上昇の勢いが抑制される傾向があります。
「売り厚め」については、通常の「売り」よりもオーダーがまとまっている状態です。レジスタンスライン(抵抗線)として機能します。
取引例は、「売り」、または、「売り厚め」の水準手前で売り注文、売り水準を価格が突破したところで順張りによる買い注文の取引戦略が有効です。
買い(買い厚め)
買い(買い厚め)は、その為替レート水準に大口の買いオーダーが入っている状態を指します。下値に大口の買いオーダーが存在すると、下落の勢いが抑制される可能性があります。
「買い厚め」は、通常の「買い」よりもオーダーがまとまっている状態を示しています。サポートライン(支持線)として機能します。
取引戦略としては、「買い」または「買い厚め」の水準手前で買い注文を行い、買い水準を価格が下抜けたところで順張りによる売り注文を行うことが考えられます。
割り込むとストップロス売り
割り込むとストップロス売りとは、その水準を割り込むとストップロス(損切り)の売りオーダーが入る状態を指します。
ストップロス売りが発生すると、下落スピードが速まる可能性があります。このため、ロング(買い)ポジションを保有している場合は、損失が広がるリスクが高まります。
このような状況を利用する取引戦略としては、ストップロス売りの水準で逆指値注文を設定し、下落スピードが速まるタイミングで利益を狙う方法があります。これにより、市場の急激な動きに対して迅速に対応し、利益を得ることが可能です。
超えるとストップロス買い
超えるとストップロス買いとは、その水準を超えるとストップロス(損切り)の買いオーダーが入る状態を指します。
ストップロス買いが発生すると、上昇スピードが速まる可能性があります。このため、ショート(売り)ポジションを保有している場合は、損失が広がるリスクが高まります。
このような状況を利用する取引戦略としては、ストップロス買いの水準で逆指値注文を設定し、上昇スピードが速まるタイミングで利益を狙う方法があります。これにより、市場の急激な動きに対して迅速に対応し、利益を得ることが可能です。
断続的にストップロス売り
断続的にストップロス売りとは、その為替レート水準付近に複数のストップロス(損切り)売りオーダーが並んでいる状態を指します。
このような状況では、ストップロスの売りオーダーが次々と実行されることで、為替レートが連続的に下落していくことが予想されます。
このため、断続的にストップロス売りの水準で逆指値注文を設定しておくことで、下落スピードが加速するタイミングで利益を狙いやすくなります。
断続的にストップロス買い
断続的にストップロス買いとは、その為替レート水準付近に複数のストップロス(損切り)買いオーダーが並んでいる状態を指します。
このような状況では、ストップロスの買いオーダーが次々と実行されることで、為替レートが連続的に上昇していくことが予想されます。
このため、断続的にストップロス買いの水準で逆指値注文を設定しておくことで、上昇スピードが加速するタイミングで利益を狙いやすくなります。
FX市場オーダー状況を活用した取引のポイント
FX市場オーダー状況の各水準は、それぞれレジスタンスライン(抵抗線)とサポートライン(支持線)として活用できます。
レジスタンスライン(抵抗線)
- オプションバリア
- 売り(売り厚め)
- 割り込むとストップロス買い
- 断続的にストップロス買い
これらの水準では、レジスタンスライン(抵抗線)として機能します。
そのため、抵抗線で価格が反落したところで売り、価格が抵抗線を上に抜けたところで買い。のような取引戦略が考えられます。
「割り込むとストップロス買い」や「断続的にストップロス買い」では、そのストップロスを狙ってNYカットの時間にかけて価格が上昇することがあります。
サポートライン(支持線)
- オプションバリア
- 買い(買い厚め)
- 割り込むとストップロス売り
- 断続的にストップロス売り
これらの水準では、サポートライン(支持線)として機能します。
そのため、支持線で価格が反発したところで買い、価格が抵抗線を下へ抜けたところで売り。のような取引戦略が考えられます。
「割り込むとストップロス売り」や「断続的にストップロス売り」では、そのストップロスを狙ってNYカットの時間にかけて価格が下落することがあります。
FX市場オーダー状況を利用した取引方法のまとめ
- FX市場オーダー状況とは、大口の機関投資家が為替市場で行う注文状況を視覚化したもの
- 「TRADER’S WEB FX 」では、毎営業日の6時台、14時台、18~19時台、21時台に更新
- 「TRADER’S WEB FX 」は、ドル円とユーロドルのオーダー状況のみ無料で閲覧可能(他の通貨は有料サービス)
- オーダー状況は、サポートレベルやレジスタンスレベルを判断するのに役立つ
- OP(オプション)とは、予め定められた期間または期日(権利行使期間)に、予め定められた価格(権利行使価格)で、買う権利、または、売る権利を取引するもの
- NYカットとは、ニューヨーク時間の午前10時(日本時間で23時または夏時間で22時)にオプションが満期を迎えること
- NYカットの時間前後は、価格変動が激しくなることが多い
- オプションバリアの前では、防戦売りや防戦買いが行われ、価格変動が激しくなることがある
- 一度オプションバリアの水準に到達してしまえば、その後、下落や上昇が一気に進むことがある
- 「売り」「ストップロス買い」のレベルは、抵抗線として機能する
- 「買い」「ストップロス売り」のレベルは、支持線として機能する
- ただし、ストップロスは、ストップロスを狙って価格が動くことがある