FX取引では、注文を出した際に思った価格で約定しないことがあります。この現象はスリッページと呼ばれ、特に、相場が急変したときや流動性が低いときに発生しやすいものです。FX初心者にとっては注意が必要なポイントの一つです。
本記事では、スリッページの仕組みや許容値を設定するメリット、設定しなくても取引が可能かどうかを解説し、MT4・MT5でスリッページの許容値を設定する具体的な手順を紹介します。
尚、スリッページ許容値を設定できるのは、パソコン用MT4/MT5のみでスマートフォン用MT4/MT5アプリからは設定できない仕様です。
スリッページとは?
スリッページ(Slippage)とは、注文時に指定した価格と、実際に約定する価格の差のことを指します。
例えば、以下のようなケースがスリッページの発生例です。
- 注文価格: 1ドル=150.000円で買い注文を出した
- 実際の約定価格: 150.005円(スリッページ:0.5pips)
- 市場の急変動(経済指標発表・要人発言など)
- 流動性の低い時間帯(早朝やクリスマス・年末年始など)
- サーバーの処理遅延(ブローカーや取引環境の影響)
このように、注文時の価格と約定価格が異なるのは、市場の流動性や相場の変動スピード などが影響しているためです。
その他、悪質なFX業者の場合、意図的にスリッページを操作して顧客の損失にしようとすることもあります。これは、顧客の損失がFX業者の利益となるような利益相反のDD注文方式のFX業者に疑惑があります。
海外FX業者のXMTradingでは、DD注文方式ではなく、NDD注文方式を採用しており、意図的にスリッページを操作するようなことは一切ありません。
スリッページの許容値を設定するメリット
MT4/MT5では、スリッページの許容値を設定することで、許容範囲内の価格でのみ約定させることが可能になります。
メリット1:想定外の価格で約定するリスクを抑えられる
スリッページの許容量の設定をしていないと、市場の流動性は相場の変動スピードの原因により、大きく滑った価格で約定してしまい、損をしてしまう可能性があります。
スリッページ許容値を指定すれば、指定した範囲内でしか注文が成立しないため、思わぬ損失を防げます。
メリット2:相場の急変時でも一定のコントロールができる
指標発表時などの急変動時は、スリッページが大きくなることが多いですが、許容値を設定することで過度なスリッページを防ぎつつ、ある程度の柔軟な約定を可能にすることができます。
スリッページの許容値を設定しないとどうなる?
ケース1:許容値を設定しない場合(デフォルト設定)
スリッページの許容値を設定しない場合、MT4/MT5では基本的に成行注文がその時の市場価格で約定します。そのため、予想外の大きなスリッページが発生し、不利な価格で約定する可能性があります。
ケース2:スリッページをゼロに設定した場合
許容値を「0」にすると、指定した価格と完全に一致しない限り約定しません。
しかし、市場の状況によっては、注文が約定しにくくなる(リクオートが発生する)ため、特に動きが速い相場では注文が通らない可能性があります。
適切なスリッページ設定は?
スキャルピングやデイトレードの場合は 1~2pips程度、スイングトレードでは 3~5pips程度 の設定が一般的です。
MT4/MT5でスリッページの許容値を設定する手順
ツール→オプションをクリック
MT4/MT5画面上のメニューバーから「ツール」→「オプション」の順にクリックします。

取引タブからスリッページの許容値を設定
取引タブから「価格誤差のデフォルト」で「デフォルトを指定」にチェックを入れ、スリッページ許容値を「ポイント」で入力します。

以上の簡単な設定で、スリッページ許容値をデフォルトで設定できます。
パソコン用MT4/MT5でスリッページの許容値を設定する手順のまとめ
- スリッページ(Slippage)とは、注文時に指定した価格と、実際に約定する価格の差
- 市場の急変動や流動性、サーバー処理遅延などの原因でスリッページが発生
- その他、悪質なFX業者では、意図的にスリッページを発生させて、顧客を損失させてFX業者の利益にさせるようなこともある
- スリッページ許容値を設定することで、リスクを抑えられる
- 適切なスリッページ許容値は、1~5 pipsの範囲
- MT4/MT5のツール→オプション→取引タブから設定可能