ティックチャートは、各金融市場における価格の変動をリアルタイムで細かく表示するチャートの一種です。時間軸のチャートとは異なり、ティックチャートは取引が発生するたびにデータポイントが生成される仕組みです。
そのため、取引が活発なときほど頻繁に更新されるので、為替のロンドンやニューヨーク市場でスキャルピング取引をするときにも活用できます。スキャルピング取引は、数秒から数分以内で売りと買いの取引を完結する手法です。
この記事では、MT4/MT5でティックチャートを表示と設定をして、取引に活用する方法を解説しています。
MT4/MT5でティックチャートを表示する手順
MT4/MT5の気配値表示枠からティックタブを選択
MT4/MT5の画面左上に表示されている気配値表示枠の「ティックチャート(MT5は、「ティック」)」タブを選択します。
チャートの下にティックチャートを移動して表示
MT4/MT5画面左上の小さい枠でティックチャートが見づらい場合は、チャート下へ移動して大きく表示することも可能です。
「気配値表示」と表示された枠の上をマウスでドラッグ(左クリックを押しつづけながら)すると枠を移動できます。
チャート下に移動すると、下記のようにティックチャートが表示されます。
ティックチャートの設定
ティックチャートの上で右クリックすると、設定項目が表示されます。
各項目の機能は以下の通りです。
項目 | 機能 | 用途 |
---|---|---|
新規注文 (N) | 現在選択されている銘柄で新しい注文ウィンドウを開きます。 | ティックチャートを見ながら即座に注文を出したいときに使用します。 |
チャート表示 (C) | ティックチャートではなく通常の時間足チャートを別ウィンドウで開きます。 | ティックチャートから時間足チャートに切り替えて分析したいときに使用します。 |
Askを表示(A) | 売り注文に関するラインをティックチャート上に表示します。 | 売り注文の位置を確認したいときに使用します。 |
グリッド (G) | ティックチャートに格子状のグリッド線を表示または非表示にします。 | ティックデータの可視性を調整したい場合に使用します。 |
ティックチャートを活用して取引する方法
ティックチャートは、取引が発生するたびに新しいデータポイントが生成される仕組みを持つため、数秒から数分以内に取引を完結させるスキャルピング取引に最適です。
価格の細かな動きをリアルタイムで把握できるため、短期間でのエントリーやエグジットを迅速に行うことが可能です。
具体的な使い方としては、サポートラインやレジスタンスラインを活用してエントリーポイントを見極めたり、設定したルールに基づいて2pips~10pipsの範囲で素早く利確や損切りを行うといった方法があります。
スキャルピング取引とは?
スキャルピング取引とは、短時間での2pips~10pipsの範囲の小さな価格変動を狙い、多数の取引を繰り返して利益を積み上げる手法です。この取引スタイルは、ティックチャートが提供する細かな価格データを活用することで、より効率的に行うことができます。
スキャルピングの特長として以下が挙げられます。
- 高い集中力と迅速な意思決定が求められる
- 1回あたりの取引時間が数秒から数分と短い
- 小さな値動きを頻繁に狙うため、1日の取引回数が多い
取引のルールを決めて守ること
スキャルピングでは、ルールを決めてそれを厳守することが成功の鍵です。ティックチャートを活用する際も、以下のルールを確立しておくことが重要です。
- エントリーとエグジットの条件を明確に設定する
- 例:特定のサポートラインに到達したら買い、一定の利幅で利確
- リスク管理を徹底する
- 1回の取引でのリスクは口座資金の1〜2%に抑える
サポート・レジスタンスの確認
ティックチャートを活用する際、サポートラインとレジスタンスラインの確認は不可欠です。これらの価格帯を把握することで、次のような取引を行えます。
- 反発狙いのエントリー
サポートラインで価格が反発する場合に買い注文を出します。 - ブレイクアウトを活用
レジスタンスラインを超えた場合、新たなトレンドの始まりとしてエントリーを検討します。
ティックチャートでは、これらのラインに価格が到達するタイミングをリアルタイムで観察できるため、エントリーのタイミングを逃しにくくなります。
利確と損切りのルールの徹底
スキャルピングでは、素早い利確と損切りが成功のポイントです。ティックチャートの速い動きに惑わされず、事前に決めたルールを徹底しましょう。
- 利確の設定: 利幅が目標に達した時点で即座に利益を確定します。目安として2〜10pipsが一般的です。
- 損切りの設定: 価格が不利な方向に動いた場合、損失を最小限に抑えるため損切りを行います。
ティックチャートでは市場の動きを瞬時に確認できるため、ルールに基づいた迅速な対応が可能です。
ティックチャートの欠点とスキャルピング取引のデメリット
ティックチャートを使ったスキャルピング取引には、多くの利点がある一方で、いくつかの欠点やデメリットも存在します。これらを理解し、適切に対処することが成功への鍵となります。
ノイズの多さ
ティックチャートは取引ごとの価格変動を表示するため、市場のノイズ(意味のない価格変動)が多くなりがちです。
このため、ノイズに惑わされず、時間足チャートも確認しながら、本質的なトレンドやサポート・レジスタンスラインを見極めるスキルが必要です。
精神的な負担
ティックチャートを見続けると、細かい価格変動に過剰に反応してしまうことがあり、心理的な負担が大きくなることがあります。
また、ルールで決めた損切りラインを超えたときに、損切りせずに損失が広がってしまうと、より精神的に負担がかかります。
これにより、焦りや無計画な取引につながる可能性があるため、適度な休憩を取り、冷静な判断を心がけることが重要です。
リスク管理の難しさ
スキャルピング取引は取引回数が多くなるため、損失が連続すると資金が急激に減少する可能性があります。
そのため、適切なポジションサイズやレバレッジを設定し、リスク管理を徹底する必要があります。
スプレッド考慮の必要性
スキャルピング取引では、スプレッド(売買価格の差)のコストが特に重要です。
狙う利益幅が小さいため、スプレッドが広い通貨ペアや流動性の低い市場で取引を行うと、スプレッド分のコストが利益を圧迫してしまいます。スプレッドが狭い銘柄を選び、流動性の高い時間帯で取引を行うことが、コストを抑えるポイントです。
ティックチャートを活用した取引の欠点を補うには
ティックチャートの欠点やスキャルピングのデメリットを補うために、以下の対策を講じると良いでしょう。
- 時間足チャートと組み合わせる
- ティックチャートだけでなく、1分足や5分足などの時間足チャートも併用して、全体のトレンドを把握します。
- 自動売買ツールの活用
- 人間の判断ミスを減らすために、スキャルピングに特化した自動売買ツールを使用するのも効果的です。
- リスクを最小化する
- 1回の取引で大きなリスクを取らず、資金の安全を優先した取引を心がけます。
ティックチャートの特徴を理解し、これらの課題に適切に対処することで、スキャルピング取引をより効果的に行えるようになります。
MT4/MT5でティックチャートを表示して取引に活用する方法のまとめ
- ティックチャートとは、価格の変動をリアルタイムで細かく表示するチャートの一種。時間軸チャートとは異なる
- MT4/MT5の気配値表示枠から「ティックチャート」タブをクリックするとティックチャートを表示できる
- 気配値表示枠の上を左クリックで押しながら移動すると、希望の場所へ移動できる
- ティックチャートの上で右クリックすると、各種設定と新規注文ができる
- ティックチャートは、取引が発生するたびにデータポイントが生成されるのでスキャルピング取引で活用できる
- スキャルピング取引ではなくとも、エントリーのタイミングを判断する材料になる
- リスクは資金の1~2%を徹底し、エントリーと利確の条件を明確することが大切
- スキャルピング取引における利確や損切りは、2~10pipsの小さな価格幅