IFO(イフダンオーシーオー)注文は、MetaTrader 4(MT4)やMetaTrader 5(MT5)で利用できる便利な注文方法のひとつです。
このIFO注文を使うことで、事前に設定した条件に従って新規注文と利確・損切りを同時に管理することができます。
MT4/MT5は、日本国内FX業者の取引ツールのようにIFO注文というようなボタンがあるわけではなく、一つの注文画面から成行注文も指値注文も含め、事前に各注文を設定できるようになっているため便利です。
この記事では、IFO注文の手順や使う場面を分かりやすく解説します。
IFO注文とは
IFO(イフダンオーシーオー)注文は、新規注文と決済注文(利確・損切り)を同時に設定できる便利な注文方法です。
IFO注文は、以下の2つを組み合わせたものです:
- イフダン(IFD)注文:新規注文が約定すると、自動的に決済注文が発動。
- OCO(One Cancels the Other)注文:利確と損切りの注文を同時に設定し、どちらかが成立するともう一方がキャンセルされる。
例えば、「価格が〇〇円になったら買い、その後△△円で利益確定、□□円で損切り」という設定を事前にしておけます。
MT4/MT5でのIFO注文の仕組み
MT4やMT5には、「IFO注文」という専用ボタンやメニューはありません。そのため、以下の手順でIFO注文を実現します:
- 新規注文(指値または逆指値)を設定
- 注文画面で、指値注文から注文の種類を選択後、希望する「エントリー価格」と「数量」を入力。
- 決済注文(利確・損切り)を設定
- 新規注文時に「Take Profit(利確)」と「Stop Loss(損切り)」の価格を設定する。
IFO注文を活用すれば、相場を常に監視する必要がなく、計画的にトレードができるため、初心者でもリスク管理がしやすくなります。
IFO注文を使う場面
IFO注文は、あらかじめエントリー価格や決済注文(利確・損切り)を設定し、自動的に取引を管理したいときに役立ちます。
特に以下のような場面で活用できます。
- ブレイクアウトを狙うとき
- 価格が一定のラインを超えたらエントリーし、その後の利益確定や損切りを自動で設定。
- 例えば「○○円を超えたら買い、△△円で利確、□□円で損切り」といった注文が可能。
- レンジ相場の反発を狙うとき
- レンジの上限や下限で反発すると予想し、価格がその水準に達したら自動でエントリー。レンジを抜けたら損切り、反対側のレンジで利益確定を設定。
- 忙しくてチャートを頻繁に見られないとき
- 仕事や用事でリアルタイムの相場監視が難しい場合でも、事前にIFO注文を設定しておけば、希望の条件で自動的に取引が行われる。
IFO注文のメリット
IFO注文を使うことで、以下のようなトレードの効率化やリスク管理の向上が期待できます。
- エントリーと決済を同時に設定できる
- 取引開始と同時に、利確と損切りの注文も出せるため、リスクを管理しながら計画的なトレードが可能。
- 感情に左右されずにトレードできる
- 利益を伸ばしたい欲や、損失を取り戻したい焦りが原因で、ルールを破ることを防げる。
- 相場を監視しなくても自動的に取引が成立
- 仕事中や寝ている間でも、設定した条件通りに注文が実行されるため、忙しい人にも最適。
- 大きなトレンドの流れに乗りやすい
- ブレイクアウトやトレンド発生時に自動で注文が入るため、チャンスを逃しにくい。
IFO注文のデメリット
便利なIFO注文ですが、すべての状況に万能というわけではないため、以下のデメリットも理解しておく必要があります。
- 相場の急変動に対応しにくい
- 予期せぬニュースや経済指標の発表で相場が急変すると、想定外の価格で約定してしまうことがある。
- 設定ミスが損失につながる
- 例えば、利確や損切りの価格を間違えると、思わぬ損失を出す可能性があるため、発注時の確認が重要。
- トレードの柔軟性が低くなる
- 一度設定すると、自動的に執行されるため、相場の状況に応じて臨機応変に判断したい場合には不向き。
- スプレッドの影響を受けやすい
- スプレッド(買値と売値の差)が広がると、IFO注文の価格設定によっては、思ったより早く約定してしまうことがある。
MT4/MT5でIFO注文を設定する手順
パソコン用MT4/MT5でIFO注文を設定する手順
MT4/MT5画面上のツールバーにある「新規注文」をクリックします。

オーダーの発注画面が表示されるので、「通貨ペア」項目から取引したい銘柄を選択します。

「注文種別」の項目で「成行注文」をクリックして、「指値注文(Pending Order)」を選択します。

「注文種別」の項目で「指値注文 / 逆指値注文」の種類を選択します。「Buy Limit / Sell Limit / Buy Stop / Sell Stop」の4種類から選びます。

- Buy Limit(指値買い): 市場価格が今よりも下落したときに、買いたい場合
- Sell Limit(指値売り): 市場価格が今よりも上昇したときに、売りたい場合
- Buy Stop(逆指値買い): 市場価格が今よりも上昇したときに、買いたい場合
- Sell Stop(逆指値売り): 市場価格が今よりも下落したときに、売りたい場合
注文したい数量を「数量」のフォームにロット単位で入力します。

「価格」のフォームに、注文したい価格(為替レート)を入力して設定します。
ここで入力した価格に市場価格が到達すると、設定した量が注文の種類に応じて執行されます。

「決済逆指値(S/L)」に損切りする価格、「決済指値(T/P)」に利益確定したい価格を入力して設定します。

必須ではありませんが、希望であれば注文の有効期限やコメントを追加することができます。
有効期限にチェックを入れてご希望の日時を入力します。コメントフォームにテキストを入力することで、ポジション一覧から何の取引かをコメントで確認できるようになります。

MT4は「発注」ボタンをクリック、MT5は「注文」ボタンをクリックすると、IFO注文が完了です。

注文したリストは、MetaTrader画面下のツールボックス枠の「取引」タブから確認できます。

- 注文を削除する場合: 注文リストの一番右側のバツ印をクリックすると注文の削除ができます。
- 注文を変更する場合: 価格の項目をダブルクリックして、価格を変更し注文変更ボタンをクリックします。
スマートフォン用MT4/MT5アプリでIFO注文を設定する手順
気配値画面から取引したい通貨ペア(銘柄)をタッチします。

ポップアップ画面が開くので、「トレード(新規注文)」をタッチします。

「成行注文」をタッチして、ご希望の注文の種類を選択します。

- 成行注文(即時注文):市場価格で即時注文したい場合(成行売り、成行買い)
- Buy Limit(指値買い): 市場価格が今よりも下落したときに、買いたい場合
- Sell Limit(指値売り): 市場価格が今よりも上昇したときに、売りたい場合
- Buy Stop(逆指値買い): 市場価格が今よりも上昇したときに、買いたい場合
- Sell Stop(逆指値売り): 市場価格が今よりも下落したときに、売りたい場合
- Buy Stop Limit(買いストップリミット):市場価格が指定した価格を上回ったときにBuy Limitを有効にしたい場合(MT5のみ)
- Sell Stop Limit(売りストップリミット):市場価格が指定した価格を下回ったときにSell Limitを有効にしたい場合(MT5のみ)
注文をしたい量をロット単位で入力し、注文したい価格(為替レート)を入力して設定します。

ストップロス(S/L)に損切りする価格、テイクプロフィット(T/P)に、利益確定(T/P)したい価格を入力して設定します。

必須ではありませんが、希望であれば注文の有効期限を追加することができます。

パソコン用MT4/MT5では、コメントが追加できますが、スマートフォン用MT4/MT5アプリではコメント追加機能が省かれています。
「銘柄、数量、価格、注文の種類、S/L、T/P」に間違いがないか確認後、「発注」ボタンをタッチします。

発注ボタンがグレー色でボタンが押せない場合は、「注文種別」と「価格」の値に相違がないか確認します。
例えば、Buy Limitを指定して、現在値より高い値を入力している場合は注文できません。Buy Limitの場合は、現在値より低い価格を入力する必要があります。
まだ約定されていない注文したリストは、トレード画面の「オーダー」の箇所から確認できます。

MT4/MT5でIFO(イフダンオーシーオー注文)をする手順と活用方法のまとめ
- 事前に設定した条件に従って新規注文と利確・損切りを同時に管理できるのがIFO注文
- 注文画面で、指値/逆指値の新規注文と同時に利確と損切りの値を設定する
- IFD注文:新規注文が約定すると、自動的に決済注文が発動
- OCO注文:確と損切りの注文を同時に設定し、どちらかが成立するともう一方がキャンセルされる
- IFD注文とOCO注文を組み合わせたのがIFO注文
- 価格のブレイクアウトやレンジ相場でIFO注文を活用できる
- 忙しくてチャートを頻繁に見られない場合も、事前にIFO注文をしておけば、MT4/MT5を開いてなくとも自動的に取引が行われる
- 感情に左右されずリスクを管理しながら計画的にトレードできるメリット
IFO注文は、エントリーと決済を同時に設定できるため、計画的なトレードがしやすく、相場を監視しなくても自動で取引ができるという大きなメリットがあります。
一方で、急変動や設定ミスには注意が必要なため、IFO注文を活用する際は、相場環境や戦略に合わせて慎重に設定することが重要です。
特に初心者の方は、少額から試しながらIFO注文に慣れるのがおすすめです。