MT4 移動平均線の使い方

移動平均線(Moving Average)は、一定期間の終値の平均値をグラフにした線です。移動平均線をチャートに表示することで、上昇・下降・停滞などのトレンドの判断や複数の移動平均線の交差のタイミングで売買の判断が可能になります。

移動平均線は、「SMA・EMA・SMMA・WMA」の4種類あります。一般的に広く使われているのは、SMA(単純移動平均線)とEMA(指数平滑移動平均線)の2種類です。

この記事では、移動平均線の見方や正しい使い方についてご紹介しています。

移動平均線の表示方法

パソコン版 MT4 / MT5 移動平均線 表示手順

MT4 / MT5画面左側の「ナビゲーター」枠から「インディケータ → トレンド → Moving Average」を選択し、適用させたいチャートにドラッグ・アンド・ドロップ(左クリックを押しながら移動して左クリックを離す操作)します。

移動平均線 表示方法

Moving Average(移動平均線)の設定画面が表示されるので、「期間」「移動平均線の種別」「スタイル」の3箇所をご希望のものに変更して「OK」ボタンを押します。

移動平均線 設定画面

移動平均線 設定例
  • 期間: 5、7、10、14、25、75、100など
  • 移動平均線の種別: Simple(単純移動平均線)または、 Exponential(指数平滑移動平均線)
  • スタイル: ご希望の色や線の表示方法

以上の操作だけで、MT4 / MT5のチャートへ移動平均線(Moving Average)の表示が完了です。

移動平均線は、複数表示できます。短期・中期・長期の期間で3つを同時に表示するのが主な使い方です。

スマホ版 MT4 / MT5 移動平均線 表示手順

MT4 / MT5アプリの「チャートタブ」からチャート画面を開き、チャート画面上の「f」アイコンをタッチ → インディケータ画面から「メインウィンドウ」をタッチします。

MT4 スマホ 移動平均線表示

「インディケータ追加」画面で「Moving Average」をタッチし、設定画面を表示させます。

「期間」「メソッド(移動平均線の種別)」「スタイル」の3箇所をご希望のものに変更して「完了」ボタンをタッチします。

MT4 スマホ 移動平均線設定画面

以上のタッチ操作で、MT4 / MT5スマホアプリのチャートに移動平均線の表示が完了です。

移動平均線を使う理由

移動平均線を使う理由としては、主に下記3つがあります。

移動平均線を使う理由
  1. 相場の強弱・トレンドを判断する為
  2. トレンド転換のポイントを判断する為
  3. 価格の反発や反落箇所(抵抗線・支持線)を判断する為

移動平均線を表示しないチャートは、ある程度のトレンドは目視で確認できても、価格がどのポイントで反発や反落するのかまでは分かりません。

チャート画像

しかし、移動平均線をチャートに表示することにより、相場の強弱が確認できるとともに価格の反発や反落のポイント、トレンド転換が分かりやすくなります。

移動平均線

移動平均線は統計分析でも基本となっている考え方で古くから使われてきましたが、1962年にアメリカのJ・E・グランビルによって相場分析に利用できることが広められました。移動平均線は、テクニカル分析の指標として最も基本的なもので、多くの投資家で利用されています。

移動平均線の「種別」

移動平均線は4種類あり、同じ期間設定でも表示したときの移動平均線の動きがそれぞれ少しずつ異なります。

移動平均線の種別
  • 単純移動平均線(MA):MT4の表記は「Simple」
  • 指数移動平均線(EMA):MT4の表記は「Exponential」
  • 平滑移動平均線(SMMA):MT4の表記は「Smoothed」
  • 加重移動平均線(WMA):MT4の表記は「LinearWeighted」

移動平均線の種類

単純移動平均線(MA又はSMA)

単純移動平均線は、過去の一定期間における終値の平均値で算出されています。

例えば、日足チャートにおける21MAであれば、過去21日分の終値の平均値がチャートに表示されます。

単純移動平均線の計算式

SMA = SUM (CLOSE (i), N) / N

  • SUM = 合計
  • CLOSE (i) = 現期間の終値
  • N = 計算に使われる期間の数
  • メリット: 長期的なトレンドの方向性が分かりやすい
  • デメリット: 直近の値動きによる平均線の反応が遅い

指数移動平均線(EMA)

指数移動平均線は、過去の一定期間における終値の平均値に平滑化定数を掛けて算出されています。

価格の動きに遅れを取る単純移動平均線の問題を解決する為に考え出された移動平均線です。

単純移動平均線の計算式

EMA = (CLOSE (i) * P) + (EMA (i -1) * (1 – P))

  • CLOSE (i) = 現期間の終値
  • EMA (i -1) = 1つ前の期間の移動平均の値
  • P = 価格の値を使用するパーセント
  • メリット: 単純移動平均線よりも直近の値動きに早く反応
  • デメリット: 大きな為替変動や横ばいの相場の時は、ダマシが多い

平滑移動平均線(SMMA)

平滑移動平均線は、EMAを改良した移動平均線でSMAやEMAよりもなめらかな平均線になります。

単純移動平均線よりも長期的なトレンドを見るのに役立ちます。

単純移動平均線の計算式

SMMA = (SMMA (i -1) * (N -1) + CLOSE (i)) / N

  • SMMA (i-1) = 1つ前の足の平滑移動平均
  • N = 平滑化期間
  • CLOSE (i) = 終値
  • メリット: SMAよりも長期的なトレンドの方向性が分かりやすい
  • デメリット: 直近の値動きによる平均線の反応が遅い

加重移動平均線(WMA)

加重移動平均線は、指数移動平均線よりも直近の価格を重視した移動平均線です。

期間毎に各終値を掛け合わせて計算され、直近価格のデータが一番大きくなります。

単純移動平均線の計算式

LWMA = SUM (CLOSE (i) * i, N) / SUM (i, N)

  • SUM = 合計
  • CLOSE(i) = 終値
  • SUM (i, N) = 重み係数の合計
  • N = 平滑化期間
  • メリット: 直近の値動きを重視しているので平均線の中でも最も反応が早い
  • デメリット: 平均線の中でも一番ダマシが多い

どの移動平均線「種別」を使うのが良い?

移動平均線は、それぞれ種別ごとにメリット・デメリットがあるので、相場や自分の好みに合わせてどれを利用しても大丈夫ですが、世界一般的には「EMA(指数移動平均線)」が最も多く使われています。(日本国内のトレーダーには、単純移動平均線(SMA)が最も人気があります。)

指数移動平均線(EMA)は、単純移動平均線(SMA)よりも直近の値動きに早く反応する為、数分から1時間程度の短期時間足で取引する際は、売買タイミングを逃すことが少なくなります。

EMA

上記チャートは、単純移動平均線(MA)と指数移動平均線(EMA)を表示させています。

2つの移動平均線の動きのうち、緑色の平滑移動平均線(EMA)の方が、価格下落で早く下向き、価格上昇でEMAが早く上向き、と反応しています。

移動平均線の「期間」

移動平均線の期間とは?

移動平均線の期間(数値)は、ローソク足の本数を意味しています。「移動平均線の期間 = ローソク足の本数」で計算されるので、チャートの時間足により期間が異なります。

(例)移動平均線の期間を20本に設定した場合
  • 月足 = 20ヶ月分
  • 週足 = 20週分
  • 日足 = 20日分
  • 4時間足 = 80時間分
  • 1時間足 = 20時間分
  • 15分足 = 5時間分
  • 1分足 = 20分分

移動平均線の期間の数値について

時間足毎の移動平均線の期間数値の目安設定は、下記の表の通りです。

時間足移動平均線の期間
15分足4、8、12、16、20、24、48、64、96など
1時間足4、8、12、24、36、48、72、96、120など
日足5日、10日、20日、21日、25日、50日、75日、100日、200日など
週足13週、26週、52週など
月足12ヶ月、24ヶ月、60ヶ月など

各時間足における期間(数値)の考え方としては、キリが良い数値が使われることが多いという点です。

キリが良い移動平均線の期間
  • 15分足で4本の期間の場合は、1時間分の移動平均線が表示されます。
  • 1時間足で24本の期間の場合は、1日分の移動平均線が表示されます。
  • 日足で、5本の期間の場合は、5日分(1週間分)の移動平均線が表示されます。

FXは土日が休場となるので、1週間は5日となります。20日(又は21日)の期間にした場合は、1ヶ月分の移動平均線がチャートへ表示されます。

結局、移動平均線「期間」はどの数値が良い?

期間についても特に決まりはなく、自分の好みに合わせて自由に設定して大丈夫です。

時間足毎によく使われる数値は上記の表の通りです。一般的には、時間足に関係なく下記の数値が多く使われる傾向があります。

一般的に利用される移動平均線の期間数値
  • 短期移動平均線: 5、8、12など
  • 中期移動平均線: 20、25、75など
  • 長期移動平均線: 100、200など

数値が小さい方が、短期移動平均線となり、大きくなるにつれ中期移動平均線、長期移動平均線となります。

移動平均線の期間

移動平均線を利用した取引方法

移動平均線を利用した取引方法は、大きく分けて下記4つの使い方があります。

  1. トレンドによる取引方法
  2. 抵抗線と支持線による取引方法
  3. 複数の移動平均線同士の交差による取引方法
  4. グランビルの法則よる取引方法

1. トレンドによる取引方法

移動平均線が上向きか下向きかによって、売買の判断をする最も単純なやり方です。

移動平均線が上向きの場合、上昇トレンドとなり買い注文を行い、下向きの下落トレンドの場合は、売り注文を行う取引をします。

移動平均線のトレンド判定

短期・中期・長期の3本の移動平均線の全ての傾きが同じ方向に一致することを「パーフェクトオーダー」と言います。パーフェクトオーダーが発生すると、その方向への買いや売りの信頼性が増します。

2. 抵抗線と支持線による取引方法

抵抗線(レジスタンスライン)とは、価格が下落中に反発して上昇する線のことをいい、支持線(サポートライン)とは、価格が上昇中に反落して下落する線のことをいいます。

移動平均線自体、抵抗線や支持線の役割にもなり、価格が移動平均線に接触する地点で売買の判断をすることができます。

移動平均線 抵抗線・支持線で売買判断

買いシグナル
  • 価格が移動平均線の上に抜ける: 買い(順張り)
  • 移動平均線で価格が反発: 買い(逆張り)
売りシグナル
  • 価格が移動平均線の下に抜ける: 売り(順張り)
  • 移動平均線で価格が反落: 売り(逆張り)

3. 複数の移動平均線同士の交差による取引方法

短期間の移動平均線と中長期間の移動平均線の交差のタイミングで売買を判断する取引方法です。

移動平均線交差のタイミングで売買判断

短期の移動平均線が中長期の移動平均線を上回った地点は、ゴールデンクロスとなり買いのサインとなります。

短期の移動平均線が中長期の移動平均線を下回った地点は、デッドクロスとなり売りのサインとなります。

4. グランビルの法則よる取引方法

グランビルの法則とは、1960年代にウォール街の通信社の記者だった「ジョゼフ・E・グランビル氏」が、移動平均線を株価に応用することで考案されたテクニカル分析です。

グランビルの法則は、合計8つの項目に分け売買の判断します。

買いの判断基準

グランビルの法則 買い

買いシグナル
  1. 移動平均線が上昇に転じ、価格が移動平均線を下から上へ突き抜ける

  2. 価格が移動平均線を下回っても、移動平均線が上昇している

  3. 上昇中の移動平均線に近づいてきても、移動平均線を下回ることなく再び上昇

  4. 下向きの移動平均線から価格が大きくかけ離れて下落(乖離率が高い)

上記A~Dの4項目の状態になると、買い判断の目安となります。

売りの判断基準

グランビルの法則 売り

売りシグナル
  1. 移動平均線が下落に転じ、価格が移動平均線を上から下へ突き抜ける

  2. 価格が移動平均線を上回っても、移動平均線が下降している

  3. 下降中の移動平均線に近づいてきても、移動平均線を上回ることなく再び下落

  4. 上向きの移動平均線から価格が大きくかけ離れて上昇(乖離率が高い)

上記E~Hの4項目の状態になると、売り判断の目安となります。

移動平均線の弱点

移動平均線は、相場の上昇・下降・停滞などのトレンドを判断するテクニカル指標でも、売買シグナルから一時的に逆方向へ行く「ダマシ」が出やすい弱点もあります。

移動平均線の弱点

上記チャートは、緑丸の箇所が移動平均線が支持線として正常に機能しているのに対し、赤丸の箇所はダマシが発生しています。

赤丸の箇所は、移動平均線を価格が突き抜けてトレンド転換と思われましたが、その後価格は戻り下落しています。これが「ダマシ」の例です。

機関投資家などプロ集団が、一般投資家のストップロスを狙い市場からお金を巻き上げる為に、ダマシが発生する理由と言われています。

移動平均線の弱点を補う方法

移動平均線の弱点であるダマシを補う方法は、主に下記の3点が多く使われています。

ダマシを見破る方法
  • 移動平均線を、異なる期間で複数表示する
  • MACDなどのオシレーター系インジケーターを追加で表示する
  • エンベロープなどのトレンド系インジケーターを追加で表示する

複数の移動平均線を組み合わせた例

複数の移動平均線

上記チャートは、3つの移動平均線(25EMA、75EMA、200EMA)を同時に表示したチャート例です。

赤丸のダマシのポイントでも、他の移動平均線は下向きのままで、75EMAと200EMAの移動平均線に価格が接触して反落しているのが分かります。

複数の移動平均線を表示させることで、ダマシのポイントをある程度回避することができます。

また、MACDやエンベロープなどの他のテクニカル指標も同時に表示させることで、より細かくダマシのポイントを回避することもできます。

移動平均線 使い方 まとめ

  • 移動平均線を利用することで売買の判断がつきやすい
  • 4種類の移動平均線があるが、MAとEMAの2つが主に使われている
  • 期間は、キリが良い数値が使われる
  • 移動平均線を利用した取引方法は主に4つ
  • ├ 1.トレンドによる取引方法
  • ├ 2. 抵抗線と支持線による取引方法
  • ├ 3. 複数の移動平均線同士の交差による取引方法
  • └ 4. グランビルの法則よる取引方法

移動平均線は、種別や期間によって全く違う線が引けてしまうので、単純なテクニカル指標でありながらも使い方が難しいインジケーターでもあります。

短期・長期売買など自分の取引スタイルによっても設定する期間が異なるので、まずはデモ口座でどの期間が自分に合っているかを確認してみるのも良いでしょう。

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